対中ODA

日本の対中ODAの減額が、外相レベルで話し合われたそうな。

中国の李肇星(リー・チャオシン)外相は27日、日本政府の途上国援助(ODA)が削減されることに関連して、「中国国民は中国の力量をよりどころとする」と述べ、日本の支援に必ずしも依存しない姿勢を示した。 ASEANの会議のため訪れているラオスビエンチャンで報道陣に語った。中国は先進国からの支援を引き続き受けたい立場を崩していないが、ODAの削減を示している日本政府の方針の容認に含みを残した形だ。

礼も言わんのかと思ってみたり。まぁ、そういう事が言われたかどうか、報道されていないから判らないのだけど。
JanJan」の今年3月の記事だけど、

日本は中国向けODAを大幅に減らす

中国の各紙は10日、日本の中国向け円借款額(※)の減少について報じた。『日本の中国向け円借款額は3年連続減少』『対中援助に反対する声が高まり、円借款額は3年間で半減』などの見出しで、日本政府は03年度分(実際の執行は04年度以降)の中国への円借款額を前年度比約20%減の967億円にすると伝えた。

報道によると、日本の対中円借款額は3年連続減少し、00年度の2144億円から半分以下の水準となった。その結果、首位だった中国が3位に転落、インドがトップに浮上する見込みだという。

ま、既にそれなりに減額されて来ているようだけど。
同じ記事の中で、

また、元外務省中国課長で現明治学院大学教授の浅井基文氏の著書『中国をどう見るか』を引用し、「私はいま、日本人がこれらの実像からかけ離れた「中国像」を払拭しない限り日中関係を正すことはできないし、アメリカの自国本位の戦略に利用されて敵対関係の枠組みの中に引きこまれてしまう危険性を強く感じている」と伝えている。

という下りがある。この本を読んでいないので「中国像」とは何を言わんとしているのか判らないし、どういう文脈の仲の記述か良く判らないが、「アメリカの自国本位の戦略に利用されて敵対関係の枠組みの中に引きこまれてしまう危険性」という文章が気になる。
日本が中国の貢(ミツグ)君だったら、そうはならないと言いたいのかな?つまり、対中ODA止めれば日本はアメリカしか頼れなくなると言う事?
日本とアメリカとの関係は、互いに互いを利用している関係で、戦後の日本の復興に大きな貢献をしている。これは歴史が既に証明した事実。で、これは日米安保条約という国と国との約束レベルの枠組みの中でのお話。
一方、中国へのODAは、シンプルに日本の善意の表れで、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つと思ってやってるだけのはず。としておこう^^;
だから、中国へのODAは日本の安全保障とはリンクしないし、そんな風に関連付けて考えること自体危険だし、外交の仕方を歪ませるのじゃないか。単に、「中国はODA対象国から外れて卒業した」というだけだという事を明確にしたほうが言いと思う。
こないだ分水嶺ということを書いたけど、私は中国との敵対関係を望んでいる訳ではない。
しかし中国に幾らODAしたからって、中国は日本の安全は保障しないし(ガス田は開発するし、原潜で領海侵犯はするし^^;)、日本が対米追従しなくなる訳では無い。
屁のツッパリにもならない対中ODAに安全保障を期待するよりも、もっと確かな他の道を考えるほうが良いのじゃないか?*1
ちょっと前に、参院で「対中のODA推進は不必要」とする報告書が出されたという記事があった。

参院は十日、政府開発援助(ODA)に関して実施した実態調査の報告書をまとめた。中国に対するODAについて、中国の経済成長などを理由に「引き続き推進する必要性は見当たらなかった」と指摘し、特に円借款に関しては「廃止も視野に入れ、縮減するべきだ」と厳しい姿勢を打ち出した。

中国など六カ国に派遣した議員団による報告書で、参院は二〇〇五年度予算編成に反映させたい意向だ。 報告書は対中ODAの累計が三兆三千億円に上ることを強調。物価水準を加味した各国通貨の国内購買力の比率である「購買力平価」で換算した場合、中国が日本の二倍の経済力となることやフィリピンに低利融資を実施していることなどに言及した。

その上で、対中ODAへの日本の国民感情について「サラリーマンはリストラに不安を抱き、中小企業や農民は中国からの輸入品との厳しい競争にさらされている」と指摘、「税金が中国に対するODAに使われることに割り切れない感情が国民の間にある」とした。

円借款の在り方については日本の予算が財源不足で制約されている状況に触れ、「低利、長期返済期間の資金を貸し付けるのだから国民への説明責任や親日感情の醸成のためにも『顔の見える援助』に努める必要がある」と強調している。

に同意する。というより、とっとと止めたほうがいい。フィリピンには日本が直接支援したらいい。フィリピンだけじゃなく、他にも支援のいる国は一杯ある。
そういえば、フィリピンとはFTA交渉のさなかだったか。これも、とっとと締結しよう。