広報活動が必要

外務省は、ドイツ辺りの広告代理店を内密に雇って、日本の立場を有利にするためのプロパガンダをやるべきじゃない?向こうは一党独裁国家で一枚岩だし、各国に散らばる華僑も多くて、基本的に多勢に無勢なんだから。^^;
参考資料:

戦争プロパガンダ 10の法則

戦争プロパガンダ 10の法則

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争

現在、財団でプロパガンダをテーマに研究をしており、その観点から米国の戦時プロパガンダについて簡単に指摘したい。 米国は湾岸戦争やユーゴ紛争の際に同国政府は広告代理店に依頼し、各種のブラック・プロパガンダ(策謀宣伝)を展開したが、こうした成果を踏まえて今回も多くの注文を広告代理店に発注している。

仕組まれた反日デモ

 中国で反日デモがはじまってから私が日本人と電話で話していて気がついたことがある。それは多くの人が事件のはじまり方を突然に感じている点で「何で今に」といった発言に表れた。ところが、私の最初の感想は長い間おそれていたのがとうとう来たであった。この違いは、私が欧米特にドイツのマスコミに接しているからである。

 この2,3年来、こちらでは日中関係となると、体面を重んじる儒教文化圏の二大国が覇権(面子)争いをしているイメージがある。ところが、しばらく前からこの関係が劇的に悪化しつつあるとする報道に私はよく接した。

 ■中国製マッチポンプ

 現場にいた欧米ジャーナリストが書いたものから判断するかぎり、中国の反日デモ・暴動はやらせのように思われる。だから中国政府が主張するような「自然発生的」なものではない。ジャーナリストが現場でそう直感したのは、人々の役割分担が前もって決まっているなどデモがあまりにもよく組織されているように見えたからだ。

 例えば、日本の国旗を取り出して火をつける役目の人がいる。燃えて炎が出た途端別の人が順番を待っていたかのように出てきて用意していた消火器で要領よく消すといった具合である。この場面の記述を読みながら私は昔日本にあったマッチポンプというコトバを思い出して思わず笑ってしまった。これは自分でマッチを擦って火をつけて(=もめごとを起こして)おいて消火ポンプで消して(=もめごとをしずめて)利益を得る怪しげな政治家の行為が当時この名前で呼ばれていたからである。次に欧米人の記者に目立ったのは、お祭りの行列を随行するような警官、またテレビカメラを意識して石投をする人々などであった。

 学生ならこのようなデモを組織できるだろうし、また彼らが組織したとしたら「自然発生的」である。ところが、多くのデモは、生憎なことに、北京や上海以外の出稼ぎ労働者が住む経済特区の町で起こっている。このような事情からも、共産党に近いところにいる人々が反日デモを組織していると推定される。

 戦争犠牲者の補償を日本に要求している市民運動家として欧米で知られているTong Zeng氏がドイツの新聞に登場した。自称会社経営者でドイツ製高級車BMを乗りまわすこの市民運動家は、江沢民から現在の指導者に交代してから運動がしやすくなったと自慢していた。

 共産党が一枚噛んでいると思われる決定的な理由はそのメディア操作である。中国語メディアの関係者、すなわち国内向けのメディアではたらく中国人に、共産党支部から反日デモの報道を控えるようにという通達が出されていたことである。(このような情報が欧米のメディアにもれることは、中国がかなり開放的情報社会になりつつあることを物語る。)

日本のプロパガンダ下手

 中国における一連の反日デモを、日中情報戦と考えると、日本の劣勢が浮き彫りになる。中国は情報戦を、対日、対国内、対アジア・世界の3つの側面で組み立てる。

 中国外務省はインターネットのホームページで町村信孝外相が過去の戦争について「再度、深刻な反省とおわびを表明した」と発表し、国営新華社通信、中国各紙も報じたと、産経新聞福島香織記者は4月19日、北京から報告した。

 産経新聞18日一面の「対中配慮 足元見られる」で宮野弘之記者は、町村外相と中国の李肇星外相との会談を、「日中外相会談は、あまりの激しい反日デモに呆然(ぼうぜん)とした日本側が、対話継続に重点を置いたばかりに、中国側に足元を見られた結果となった」と総括した。日本外務省は「双方が一致点を探していこうという雰囲気で行われ、一致点があったと思う」と評価し、さらに「謝罪と賠償については、決着済みといわんばかりの説明を繰り返した」と書いている。一連のデモと暴動は、「『中国政府の想定を超えていたのではないか』などと、中国側に理解を示す外交官もいるほど」と、日本外務省役人のとんでもない認識も紹介している。

 一連のデモが、中国の対日戦略としてのみ位置づけられるのであれば、対話継続の基本路線で「おとな」の対応をするのも、ひとつの策である。しかし、中国側が対国内、対アジア・世界情報戦の一環として一連のデモを仕掛けたとしたら、日本外交はピントが外れている。

≪不安感じる海外の論調≫

 産経新聞14日一面の「『歴史歪曲(わいきょく)』訴え偽善 アジアの強国誇示 各国メディア、中国批判大勢」では、世界の主要メディアの論調をレビューした。「中国政府が『歴史カード』を使い、民衆の不満をあおっているとの冷めた分析が多い」と結論づけているが、気になる論調が多い。米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)は「日本は過去についてもっとすべきことはあった」と述べ、「中国自身の歴史の歪曲の度合いは日本よりもはるかに大きい」と指摘した。英紙フィナンシャル・タイムズは「日本が過去を正直に認め、無条件に謝罪すべきだ」と論じつつ、中国指導者の暴力的なデモ容認を批判した。シンガポールの中国語紙、聯合早報は「日本政府がデモで中国を非難するのは『本末転倒』としながらも」、両国の「理性ある言論」での解決を主張した。韓国各紙は「日本責任論」を展開した。

 欧米各紙が中国政府を冷静な目で批判していることは心強い。しかし、日本政府の戦後処理の不徹底さを批判している点に、私は不安を感じた。日本外交の不手際の積み重ねが、今回の事件になったと考えられるからだ。中国政府にとっては、世界のメディアから批判されても、日本の戦後処理の不徹底さに世界の注目が集まれば、大きな成果である。それは日本の国連常任理事国入りへの反対エネルギーをかきたてる作用も果たす。

≪駐米大使の行動に警鐘≫

 次の記事は、日本外交の現状に警鐘を鳴らすものであった。気仙英郎記者の「ポトマック通信 大使と牛肉」(14日)だ。3月に加藤良三大使が米国産牛肉の輸入再開問題で米国の上院議員らと会談した。終了後、「米上院議員らは次々にメディアの前に現れ、口々に日本が輸入再開時期を明示しないことに不満を表明した」。ところが加藤大使は日本人記者向けのブリーフィングを理由に、記者会見を断った。

 気仙記者は「大使が米メディアに登場し日本の立場を説明する機会を積極的に利用すべきだったのではないだろうか」と書いている。私も同感である。

 どうして日本政府は、重要なときに断固とした発言をしてこなかったのだろう。機会を逃さず、日本の立場を主張し続けてこそ、外交ではないか。情報戦略の再構築が必要だ。(東京本社発行最終版による)

【2005/04/24 東京朝刊から】