国連安保理

日本が国連安保理常任理事国になろうという事で、大騒ぎだ。
個人的には、他国の反対とは別に、なれないならなれないで良いじゃないか、と思う。
その代わり、国連分担金は今までの半額ぐらいにしておいてね、って事で。
本当なら日本が常任理事国になる前に、憲法改正はするべきだと思うし、一方で、国連の安保理改革も行われるべきだ、と思う。
やっぱり、米国の後ろ盾がなきゃまともに相手にされないような国では一人前ではないように思うし、拒否権なんて訳の判らん権利を特定国が有しているのも不合理だろ。
以下、割と近い考え方。

 4月に入り、中国や韓国で「日本の国連安保理常任理事国入り反対」を叫ぶデモや集会が頻発し、日系スーパーの襲撃事件にまで発展した。きっかけは、国連のアナン事務総長が安全保障理事会の改革に関する勧告をした(3月21日)さい、拡大する常任理事国の有力候補としてアジアでは、日本の名前を挙げたことにあった。韓国の金三勲国連大使は「歴史も反省しない国が、国際社会の指導的な役割を果たすのは限界がある」との見解を公表(4月1日)して、あからさまに日本を批判、中国の王光亜国連大使も「加盟国による総意を得ることが必須だ。中国人やアジアの国々は、どの国が加わるべきかについて異なった考えを持っている」と発言(4月4日)するなど、日本は近隣国の冷たい視線にさらされている。

 国連安保理は、国連が創設された1945年当時、第2次大戦の戦勝国だった米国、英国、仏国、ロシア(旧ソ連)、中国の5カ国が拒否権を持つ常任理事国(P5=permanent 5)と10カ国の非常任理事国、計15カ国で構成されている。安保理が国連総会より上位に位置づけられるのは、武力制裁の権限を有しているからだ。つまり、安保理と加盟国が特別協定を結び、加盟国から提供される軍事力によって国連軍が組織される。そのとき軍事参謀委員会がつくられ、これが司令部の機能を果たすことになるからだ。しかし正規の国連軍は、過去につくられたことがなく、朝鮮戦争イラク戦争では、米国を中心とした有志国による多国籍軍が編成された。

 常任理事国になるためには、国連加盟国(191カ国)の3分の2の128ヵ国の賛成を取り付けたうえ、P5が拒否権を行使しないことが不可欠の条件だ。だが、日本をはじめ候補になっている国には、根強い反対国が存在する。たとえば「コーヒー・クラブ」と呼ばれる一群だ。イタリア、スペイン、パキスタン、メキシコなど約20カ国は、国連のイタリア代表部に集まり、コーヒーを飲みながら協議するところからそう呼ばれる。ドイツにはイタリア、インドにはパキスタン、ブラジルにはメキシコも、安保上の潜在的な敵国同士だったり、地政学的や歴史的にライバル視する国は、互いに常任理事国入りするのを阻止したいと考えている。日本の反対国は中国と韓国、北朝鮮だ。

 では、日本が常任理事国入りすると、いったいどんなメリットがあるのか――。 元国連大使の佐藤行雄氏の講演や外務省の話を総合すると、(1)国連における世界の情報収集が格段に有利になり、情報量が増大する、(2)国連分担金の負担割合(20%で米国に次いで2位)にふさわしい発言権が確保できる、(3)非核保有国としての日本は独自の立場からアピールできる、(4)経済大国としてだけでなく、各分野で国力に応じた責任分担が果たせる――という点を挙げている。たしかに日本はこれまで9回、非常任理事国(任期2年)をやってきたが、「ポケット・ビート」(外に出ない拒否権=あらかじめP5が相互に事前調整し、反対が予想される議題を避けること)にいらだちを覚えることが多かったという。いままでは日本に期待されるのは経済的な貢献ばかりで、国連平和維持活動(PKO)への参加によって、ようやくこのところ存在感が認知されだしたところだという。

 これまで日本が常任理事国入りするさいのネックになってきたのは、いうまでもなく憲法9条の制約、つまり集団的自衛権の行使が禁じられていることだった。いまだにPKFが認められていないように、国連が平和維持のために執行部隊を派遣することになった場合、かりに日本は常任理事国になっても、現行憲法のままでは拒否するしかない。国連に詳しい英国人ジャーナリストのローズマリー・ライター氏は「日本は現実の世界では大国だが、同時に軍事力に足かせを課された大国なのだ。日本は自国の軍隊が海外での戦闘に関与できるよう国内法も国内感情も変わるまでは安保理常任理事国入りを考えるべきではない」という(『失われたユートピア=国連と世界秩序』より)。

 日本政府は、常任理事国を6カ国増やす安保理改革A案を支持しており、新たに加わる国に拒否権は付与されない見通しだ。B案は準常任理事国(任期4年、再選可能)を8カ国新設するというものだが、同様に拒否権はない。正念場の9月の国連総会に向けて政府は多数派工作を開始した。ODA(政府開発援助)を武器に、カギとなるアフリカ諸国の支持を固めるなど票集めに奔走、このためOB外交官5人を特別大使に起用したほど熱が入っている。イラクでは、戦闘こそ行わないとはいえ、親米国が続々と撤退するなか、日本の自衛隊は現地に残っている。日米同盟は近年、より強固になった。たとえ常任理事国入りしても、他国、とりわけアジアの視線が日本を米国の"別働隊"とみなすのは想像にかたくない。独立自尊の精神こそが日本のアイデンティティー再構築のバックボーンとするのなら、ようやく自前の憲法をつくろうという機運が高まりつつあるいまこそ、まずは足元を固め、それから名乗りを挙げるべきではないか。

(松本泰高=まつもと・たいこう 政治ジャーナリスト、『日本の論点』スタッフライター)

韓国のもう一つの視点

 国連平和維持活動(PKO)は1948年5月29日に設けられたエルサレムの国連休戦監視機構(UNTSO)からスタートした。イスラエルが独立を宣布すると、周辺の4国との戦争がぼっ発し、間もなくして停戦になった。国連は、非武装の停戦監視要員を配置した。次は、インドとパキスタンの間のカシミール紛争。そこにも49年1月に非武装の監視団が配置された。

 しかし、56年9月、第2次中東戦争を契機に様相が変わった。同年11月に配置された停戦監視団は、以前とは異なり、武装をした。軽い武装だが、初の武装国連軍だった。それが、こんにちのPKOに発展した。

 PKO活動は、国連安保理が主管する。56年のイスラエル停戦監視団(UNEF−1)のときのみ総会が決議し、例外なく安保理の決議によって動いた。冷戦時代には、安保理常任理事国の米国・旧ソ連が対立していたために、活動があまりなかた。50年代に2件、60年代に5件、70年代3件、80年代5件だ。冷戦崩壊の後、PKO活動は爆発した。90年代に35件、2000年代半ば現在に6件だ。冷戦以前より200%が急増した。

 このPKO活動には金がかかる。最初の二度の活動は、国連の経費であてたが、56年の「UNEF(国連緊急軍)−1」のときから変わった。金がかかり過ぎて、当時、国連は、特別基金を要求した。経費2億ドル(約200億円)は、米国(50%)と残りの加盟国(50%)に支払わせた。それ以降、加盟国の負担に定着したが、「世界平和」を他人事のように思っているせいか、財布の口を締めていて、滞納が非常に多い。04年末現在、米国は17億ドルのうち7億ドルを滞納している。滞納の割合が、中国(64%)、ドイツ(25%)、フランス(31%)、イタリア(31%)など厳しい状況だ。

 韓国は、ソマリアアンゴラへの工兵部隊派遣などを契機に、93年に合流した。それ以降、東ティモールへの派遣など積極的に活動している。ところが、金を納める成績は、おう盛な活動ほどでははい。04年末現在、1億816万ドルにのぼる請求金額のうち7030万ドルが滞納されている。国連分担金の上位10カ国の中で、滞納の割合がトップ(65%)だ。

 「常任理事国の拡大に反対する国家の集い」が11日、国連で開かれた。過去の歴史をわい曲している日本が常任委入りを目指している時点に開かれるだけに、非常に重要な集いだ。ところが、韓国がPKO分担金を滞納しているのが気になる。日本は、誠実に全額を納めている。「金も納めていない」韓国が、「他国では立派な国に評価されている」日本を批判しなければならない状況になり、韓国外交団の責任が重くなっている。

安成奎(アン・ソンギュ)政治部次長