鬼を捕らえるものが鬼になった

台湾の政局

少し古いけど、メモを…。台湾の政局は常に注目すべきだ。
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政権与党のパートナーに「親民党」


 台湾の陳水扁総統と親民党の宋楚瑜主席が2月24日に会談し、国家の主権問題や両岸政策など10項目について合意した。会談の中心議題は国内外の案件を処理することで硬直した国会運営を打開し世論の支持を取り付けることなど両者の利害が一致したものだ。


 今回、宋主席は陳氏側の政策項目にいち早く合意し、陳政権の公約に同意と支持を表明した。陳総統は2008年の任期中に「独立を宣言しない」「国名を変更しない」「二国論を憲法に盛り込まない」「独立か統一か、現状変更の公民投票は行わない」「国家統一綱領と国家統一委員会を廃止しない」など「5つのノー」を公約している。


 陳政権の第一期は民進党台湾団結連盟(台連)合わせて過半数に届かない少数与党であり、あらゆる法案が否決され政権運営がままならぬ状況にあった。
その台連は前回選挙では伸びず、今回も両党合わせての過半数獲得ができなかった。 陳政権誕生以来、台連は手となり足となって陳総統を助けてきた。しかし李登輝氏や台連よりも、今後は政権与党のパートナーとして「親民党」との連立を選択する決断をしたものである。


 今回の宋主席との会談、合意内容については台湾団結連盟には全く知らされていなかった。それどころか同じ民進党内の議員にも新聞報道を見て知り驚いた人が多く、副総統の呂秀蓮氏にも知らされていなかったのである。陳総統は秘密裏に、若手の馬永成氏を中心とした数人の側近で相談し決断したものと思われる。


 中国の胡錦涛国家主席は「陳−宋会談」について「台湾の陳代表はこの約束を守るように」とコメントを発表した。それに対して陳総統は「胡錦涛氏はわたしのことを台湾の代表と言ってくれた」と喜んだ。


李登輝路線から離脱


 一方、李登輝前総統はその日のうちに陳総統に対して「鬼を捕らえるものが鬼になった」と述べ、李登輝さんの次女も「親はお前に『見合いしろ』と言ったが、『ベッドインしろ』とは言わなかった」と厳しく批判した。李登輝前総統は、宋主席と和解しろとは言ったが、まさか署名までするとは思わなかったのである。


 しかし陳総統はこの言葉に反発し「私は李登輝さんに言われたとおりやった」と発言し、海外で行われた「欧州インターネット会議」でも李登輝批判を行い、不仲な関係となった。


 婦人団体の役員をしている李登輝前総統のお嬢さんに対し、陳総統は総統府で「お見合いして気があったら一緒に寝てもよいのではないか」と述べた。国内の注目を浴びて興奮気味なのは分かるが、言って良いことと悪いことを区別できない、一国の最高責任者としての資格が問われる発言であった。

リチャード・ギア、中国政府批判

 米俳優リチャード・ギア(55)が中国政府への怒りを爆発させた。ギアは28日、都内で行われた映画「Shall we Dance?」(ピーター・チェルソム監督、4月23日公開)の会見に出席。終了後、にこやかに写真撮影に応じていたが、突然、壇上から降りて司会者のマイクを奪った。「映画に関係ないけど」と前置きした上で「中国で反国家分裂法が制定されたことに強く反対します。小泉首相の見解と同様、中国に武器が輸出されることを絶対反対します!」。約600人の取材陣を前に、最後は胸の前で両手を合わせて訴えた。同法は、台湾が中国からの独立を宣言した場合に武力行使を容認するというもので、台湾で反対運動が起きている。

 ギアはこれまでも中国政府批判を繰り返してきた。93年にはアカデミー賞授賞式にプレゼンターとして出席し「中国政府がチベットを抑圧している」と発言。政治的発言をしたとして、その後の同賞授賞式から追放された経験もある。

 今日29日、ギアは小泉首相を表敬訪問する。一部で「似ている」といわれた小泉首相との初対面に「すごく楽しみにしているよ」とコメントした。

[2005/3/29/09:00 紙面から]