ジニ係数

ジニ係数という、世の中の所得分配の不平等さを測る指標がある。

ジニ係数(Gini coefficient または Gini's coefficient)とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標。ローレンツ曲線を描くことで求められる。イタリアの統計学者コッラド・ジニによって考案された。所得分配の不平等さ以外にも富の偏在性やエネルギー消費における不平等さなどに応用される。

係数の範囲は0から1で、係数が大きくなるほど、不平等さが高いことを意味する。たとえば、0のときには完全な「平等」―つまり皆同じ所得を得ている状態を、1のときには完全な「不平等」―つまり1人が全所得を独占している状態を示す。

世界開発銀行のMethodologiesでの定義はこんな感じ。

Gini index measures the extent to which the distribution of income among individuals or households within an economy deviates from a perfectly equal distribution.

要は、「利益分配が上手く行なわれているか?」を数値指標として概観する事に使える数値である。
日本語では以下のページに詳しい。

この値だけで貧富の格差を論ずるのは難しい様だが、一つの尺度として様々な議論で登場する。
例えば、横軸に1人あたりのGDPをとり、縦軸にジニ係数とする図を描くとする。

の図のようになる。

では「Figure 1: Income and expenditure Gini coefficients, by country」の様に、地域ごとに並べて表示し、地域単位で比較出来る表現がなされる場合もあるようだ。
又、「Figure 2: Two Decades of Income Inequality in China」の様に、一つの国の年度毎の変化をグラフ化し、貧富の格差が拡大している情況を説明する資料にも用いることが出来る。

ジニ係数の目安が、先のhttp://www.nihonkaigaku.org/のページに有ったのでメモしておく。




ジニ係数の目安
〜0.1平準化が仕組まれる人為的な背景がある
0.1〜0.2相当平等だが、向上への努力を阻害する懸念がある
0.2〜0.3社会で一般にある通常の配分型
0.3〜0.4少し格差があるが、競争の中での向上には好ましい面もある
0.4〜0.5格差がきつい
0.5〜特段の事情がない限り是正を要する

で、国別の値が英語版のWikipediaに有ったので、これもメモしておく。

2004 Gini coefficients in selected countries
Australia:0.352
China:0.447
France:0.327
Germany:0.283
India:0.325
Japan:0.249
Mexico:0.546
UK:0.360
USA:0.408

で、この値を指標に語られているページ

時々ジニ係数という表現がマスコミに登場するのをご存知でしょうか。最近厚生労働省が「再所得分配調査」の中で日本のジニ係数を0.4983と発表しました。まったく格差がない社会は0、一人ですべての所得を占有している場合は1となります。 0.5といえば、上位4分の1の所得者がすべての所得の4分の3を得ているということになるそうで、日本は1984年以来連続して上昇しています。

いきなり日本の係数が悪化している(貧富の格差が拡大している)事が、懸念される。ただ数字自体は確認できない。
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/kouhyo/indexkk_6_3.html
↑のページから「第10表 年齢階級別ジニ係数(等価所得) 」が確認できるが、ここでは「当初所得」、「税による再分配所得」、「社会保障による再分配所得」等で世代別に計算結果が現されているが、「社会保障による再分配所得」を総数で見ると、ジニ係数は0.3328となっている。
いずれにしても、「勝ち組、負け組み」という言葉が現す様に、グローバル化による競争の激化や、市場の成熟化とともに企業間、個人間の所得格差が拡大している事が伺える。
少々調べると、0.4983と言う数字は、2002年度のもので「社会保障による再分配所得」後の物では無いようだ。いずれにしても“一億総中流社会”と言われた日本は既に過去のもののようだ。

中国に関しては、

現在の中国社会における貧富格差が果たして合理的であるのか。これに対して、多数の標準で総合的に判断するべきであるが、その中、ジニ係数は一種の総合的な指数である。大多数の専門家の研究成果によると、中国現在のジニ係数は、0.458以上であり、0.49と主張する一部の学者もいる。0.458で計算する場合、中国のジニ係数は合理的な範囲をすでに超えている。その他の方面の指標もこうした問題の深刻さを物語っている。

都市部と農村部との格差に関しては、まさしく前述した統計の専門家がわれわれに信憑性の高いデータを提供してくれたのである。仮に再生産に利用する費用を除いて、そして都市部の人々の福祉水準を算出すると、中国の都市部と農村部との格差は実際、5:1、あるいは6:1まで拡大しているという。この数字は、もはや世界トップとなっている。業種別の収入格差に関しても、その差は非常に大きい。北京市統計局の調査によると、2001年、北京市86個の業種の中で、給料の最高の業種と最低のそれとの格差は、6.6倍にも及んでおり、2000年よりこの差は、1.9倍も拡大したという。所得の大きい順で中国の国民を五つの階層に分類して見ると、総戸数の20%を占める富裕層の収入は、中国社会全体の収入の51%以上を占めているのに対して、20%の低収入者の割合が中国全体の収入に占める割合は、わずか4%前後に留まっている。中国社会の多くの人々は、貧困格差を中国社会における深刻な社会問題であると見なしている。例えば、中国社会科学院『2003年:中国社会情勢分析と予測』での調査によると、指導層の幹部は2002年における諸問題の中で、収入格差を一番深刻であるとみなし、それに関連している失業問題は第二位になっている。また、異なる都市部住民を対象とする調査においても、収入格差の拡大が第三位、それと密接な関係を持っている失業問題が第一位になっている。

これまでの分析に基づいて、われわれはある結論を容易に導くことができるであろう。すなわち、全体的に見ると、現在の中国社会における貧富の格差は間違いなく、正常と言える限度を超えており、すでに不合理的な状態を見せているということである。

このレポートが書かれたのが、2003年4月25日である。昨日のニュースでは、更に中国社会の貧富の差が拡大していると伝えていたのだ。
他に、

とか。